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「ものづくりや画を描く時、
作意はオモテに出さないで、
なるべく下手に作るようにします。
そうすることによって、
稚拙さや素朴さが生まれます。
すると、ボクの進みたい道に
近づいていくような気がします。」
(「セツローのものつくり」アノニマスタジオ刊より)
これは、洋画家の小野セツローさんの言葉です。部屋に雑貨や草花を飾るのも楽しいけれど、どんなに小さくても、本物の絵を1枚掛けると、回りの空気ががらりと変わる気がします。
絵やオブジェは、生活に必要とは言えないもの。役に立たないもの。でも、「あれが得、こっちの方が便利」というものさししか持たない私たちの生活の中で、忘れていた何かに気づかせてくれるのだと思います。今回は、そんな小さなアートを飾る楽しみをご紹介したいと思います。
私は特別アートに詳しい訳でも、芸術的センスがある訳でもありません。だから、本物の絵を買うことなんてないだろうとずっと思っていました。絵=高くて手が出ないもの、と勝手に思い込んでもいたのです。
そんな私が初めての絵を買ったのは、松林誠さんという版画家のエッチングでした。絵と言えば、ピカソやマチス、というだけではありません。町中の小さなアートギャラリーでは、小さな作品展が頻繁に開かれています。
最近では、雑貨屋さんや、器のギャラリーでも絵やオブジェの展示会が開かれるようになり、より身近にアートに触れられるようになりました。そんな場所で出会う絵は、私たちにも手が届くもの。アートを別世界と考えず、気軽に足を運んでみれば、お気に入りの絵と出会えるかもしれません。
何がいい絵かわからない。自分で選ぶ自信がない、という人も多いはず。でも、誰かに見せるためでも、ましてや資産にする訳でもないのだから、絵を見て「好き」か「嫌い」かで選べばいいのだと思います。
大切なのは、「これはピカソだから」とか、「これはマチスだから」と名前や価値など、頭で理解するのではなく、「なんだかこの絵いいな〜」と心で感じることなのかもしれません。もし、感じられなければ、それは「出会い」ではなかったと思えばいい……。
何かを語りかけてくれる。それが、ポスターなどとは違う本物の絵だと思います。画集で眺めていた絵のオリジナルを、美術館で見た時、全く違う印象にびっくりしたという経験はありませんか? 1本の線の力の入れ具合、筆のかすれ具合、絵の具の厚み、水彩の透明感。そんな描いた人の手の跡を感じられるのが、本物の絵との出会いです。そして、ギャラリーで「あっ、これ!」と心に響いた1枚を、自宅に持って帰って飾ってみる。それは、雑貨を買って飾るのとは、ひと味違うインテリアの楽しみだと思います。

インテリアライター 一田憲子
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